『上海 ―多国籍都市の百年』 榎本泰子 著

先日、台湾・香港の2都市に関する記事を書きましたが、今回は上海について、この一冊を紹介、書こうと思います☆

管理人N、台湾・香港・上海の3都市について学んでみて、実は、この上海が一番好きです。

この一冊、2009年初版のものですが、著者は当時時点で中央大学文学部教授の女性の方です。

比較的冒頭に、
「本書の目的の一つは、租界時代の人々の暮らしを国籍別に検証し、そのライフスタイルや意識を明らかにすることにある。」
とあるように、この一冊では、イギリスによる租界の設置から始めて、イギリス人・アメリカ人・ロシア人・日本人・ユダヤ人・中国人、それぞれの当時の風景を描いていきます。

女性著者という利点も重なってか、私の受けた印象を率直に書けば、映画を見るような、あるいは、まるでバランスの良い色彩豊かな水彩画を見せられたような、そんな印象を受けました。国際色豊かな当時の上海の景色を鮮やかに感じさせ、また他の新書に比べても比較的優しく書いていただいているようにも感じ、とても素晴らしい一冊と感じました。

ちなみに、日本人のところでは高杉晋作が上海に来、何を見、何を感じたのかということも紹介されています。

それから、この本では触れられていませんが、昨日紹介した『陸奥宗光』でも、複数の証言を重ね合わせると、まだ明治維新のなる前、若いころの陸奥が上海行の船に乗っていたことはほぼ間違いないということも言われていたりします。

ロシア人の箇所などは、当時、帝国主義路線で立ち位置の強かった白人の中でも、ロシア革命が影響し、いわゆる難民化したような形の、立場の弱い、むしろ救われるべき白人もいたのだということに、歴史の織り成す運命とでもいうような複雑な景色を感じさせる部分もあります。

大きな政治の動乱の波が、このような思わぬ形で、上海にも押し寄せいていたということに、一つの発見と驚きを禁じ得ないものがあります。

ヨーロッパ大航海時代の波が東アジアにも押し寄せ、その植民地主義や帝国主義は決して褒められたものではありませんが、これを一つの契機に、世界が変化し、こうした国際色豊かな都市も生まれたということには、一種、深い感慨を感ぜずにはいられません。

上海をはじめ、それから香港・台湾。アジアと西欧の融合がいかに現れ、後の時代に遺産として受け継がれたか。ぜひ皆さんもこうした点を学んでみてはいかがでしょうか。

そしてその契機として、この『上海』はうってつけでもあります。ぜひ一度ご拝読あれ^^

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