『「見えない」税金の恐怖 これは官僚によるタックス・テロだ!』 大村大次郎 著

今回は本ブログでもおなじみ、元国税調査官、大村大次郎氏の『「見えない」税金の恐怖』を紹介します。

この一冊を読むと、どうして日本経済が停滞したままなのか、そして庶民の生活が苦しいままなのかという、その理由がよくわかります。

本書の中では社会保障奨学金から、サービス残業天下りなど、約8つの問題が主として取り上げられており、最後に9章で総括が述べられています。

本記事では、このなかから一点、本書でも最初に取り上げられている待機児童問題を拾って、紹介記事としてみたいと思います。

大村氏は以下のように書きます。

実は、公的な保育施設が増えないのは「保育業界側」が増やすのを拒んでいるからなのである。

現在の保育所には多額の補助金が支払われているようで、例えば、0歳児を一人預かれば毎月20万円以上が国からもらえるとのこと。0歳児が3人いればそれだけで、60万円です。また、認可保育所には固定資産税や法人税もかからない。

こうした「おいしい」形態が既得権になってしまっているわけです。

そして、認可保育所を作るのは絶望的に難しいことも述べられています。子供一人につき屋内に2畳分、屋外にも同程度の土地を用意しなければならない。認可されるためには60人以上の子供を預からなければならず、その場合、ほふく室、遊戯室だけで200㎡、運動場も200㎡なければならない。これに加えて調理室、医務室を備えていなければならない。

調理室も普通に考えると、絶対に必要なわけではなく、むしろ食事は外部から取ったほうが安全で安上がりなことも多く、時代錯誤も甚だしい。単に、参入障壁としてあるようにしか見えません。

極めつけは、保育業界が各政党の強力な指示母体となっているということです。保育業界には、日本保育協会、全国私立保育園連盟、全国保育協議会という3つの業界団体があり、厚生労働省の部会にも参加しており、政治的に強い力を持っているという。前二者は自民党の支持母体であり、3つ目の全国保育協議会は全国社会福祉協議会の下部組織でこれも自民党の支持母体であるという。

「つまり私立保育所業界というのは、自民党にベッタリなのである。」と、大村氏は結論付けます。しかも、

保育業界のたちの悪いところは、左翼系の政党との関係も深い点である。公立の保育所には、左翼系の労働組合が入っており、その影響力が強い。東京の公立保育所は、共産党系の労働組合の影響下にあり、他の地方の公立保育所は、自治労(全日本自治団体労働組合)の影響下にある。」

公立の保育士たちは非常に待遇がよく、この既得権を他に譲りたくないために、政界と癒着し、民間の認可保育所の新規参入を大きく阻んでいるという構図が見えてきます。

保育業が既得権となり、認可保育所経営者が私腹を肥やす、という構図に、自治体もうすうす気が付いているようで、2016年7月に日経新聞のオンラインで配信された、補助金の使途を精査する内容記事も紹介されています。

政治家や官僚と癒着した保育業界、既得権が、公平な新規参入を阻み、あるべき姿を歪めてしまっています。

少子高齢化が今現在進行し、家計も苦しい中、こうしてますます、家計が苦しめられ、子供を産み育てるのが困難な社会に拍車をかけています。

一部特権者・特権グループの私利私欲を満たすために、庶民の多くが犠牲となり、本来払うことのないコストを負わされ、支払わされています。

これが「見えない税金の恐怖」の一つです。

本記事ではすべては紹介しきれませんが、このように、本書を読むと、日本が、政治が、どれだけ「腐っている」かが、大変良くわかる内容となっています。

本書は2017年初版のものですが、今2019年暮れであってもほとんど古びていないように見えます。

一冊全部を読み通すと、憤り、義憤を感ぜずにはいられませんし、日本は終わったとつくづく思ってしまいます。

大村大次郎氏の本はいつもとても分かりやすく書いてあります。

小難しいものを読むよりも、この一冊を読めば、日本の抱えている病理・腐敗が一目瞭然です。

強くオススメします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です