『ALLIANCE アライアンス 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』 リード・ホフマン 著

今回、私、管理人Nが本気ですすめる一冊を紹介する。

本書、ダイヤモンド社から2015年7月9日に第一刷が出、私が持っているものは7月30日第二刷のもので、同年12月に読了したものだ。

今現在は2019年12月なので、読了からちょうどまる4年が経過した形だ。時が過ぎるのは早いもので驚いているが、このブログでもぜひ紹介したいと思い、改めてパラパラとめくってみると、その内容は「まったく古びていない」と感じた。

いやむしろ、なお一層、今現在必要とされている内容であるし、本である。

「アライアンス」。同盟。そしてこれが「雇用」と結びついて語られる本。本書を開かずとも、一種不思議な魅力を持って目の前に現れる一冊である。

そして本書を開いてみると、決して期待を裏切らない内容を見ることができるだろう。

「働き方改革」などと、まったく魅力も何も感じない言葉が飛び交う昨今、今の日本の職場を根本から変えるなら、あるいはまた、会社と人とのかかわり方を変革するなら、本書が最適であろう。

それでは、本書の内容を少しずつ紹介していこう。

「監訳者によるまえがき」では、アライアンスについて以下のような見出で、少し特徴を明かしている。

  • 「フラットで互恵的な関係は、これからの社会の価値観に合っている」
  • 「「信頼」という人間の本源的な資質に根ざしている」

今の日本社会でよくみられるような、「息の詰まるような」人間関係ではなく、「フラット」な関係、そして全く忘れさられそうな「信頼」という倫理的規範が語られている。

これだけでも、何か新たなものを予感させるわくわく感を感じないだろうか。

そして本論では以下のように前提環境やアライアンスについて述べられている。とても興味深いので、逐一列挙してみる。

■起業家タイプの人材を活かす より

シリコンバレーのエコシステムの専売特許ともいえる特徴は「適応力」だ。変化が急で破壊的イノベーションに満ちた環境でもしぶとく生き残る能力を自分の組織に望むなら、この「適応力」を鍛える必要がある。

■第二章「コミットメント期間を設定しよう」 より

「アライアンスは仕事の内容と期間を定める」

「本書が扱う「アライアンス」の文脈で使われる時、この「コミットメント期間」は特定のミッションに対する会社と社員の道義的責任を具現化したものを意味する。これは、終身雇田用とフリーエージェントの両方のメリットを取り入れる方法だ。会社と社員は終身雇用と同じように信頼関係を築き、長期的な関係に互いに投資することができるようになる。フリーエージェントと同様の柔軟性も維持でき、会社も社員も急速に変化する世界に適応していける。
このやり方なら、雇う側と雇われる側双方の負担が軽減できる。信頼が少しずつ蓄積していくからだ。ふつうの人間関係と同じように、最初は小さな約束をするところから始め、双方が約束を守ることを繰り返すことで関係が深まっていく。あらゆる有意義な関係はそのようにして築かれる。「アライアンス」が小さな約束の積み重ねでできているとすれば、「コミットメント期間」は約束の設計手法といってもいい。
働き方を「いくつものコミットメント期間の積み重ね」という形に位置づけ直すと、起業家タイプの人材を惹きつけ、自社で働き続けようと思ってもらいやすくなる。トップレベルの人材を雇いたい時も、得られるメリットと成功の果実が明快に見える「コミットメント期間」を提示するほうが、「貴重な経験ができますよ」などとあいまいな約束をするより説得力がある。魅力的なコミットメント期間を設計できれば、「個人としてのブランド力」を高める具体的な道筋を示すことになる。自社にいる間も他社で働くことになっても通用するような個人ブランドだ。」

昔のように安定していない今の世界においては、会社の適応力がますます求められている。それをトップクラスの数人のスター社員だけに頼るわけにはいかないのだ。急速な変化に対応するには、企業は組織の至るところに起業家タイプの人材が必要だ。夏休みのインターンと上級幹部では、コミットメント期間の基本方針を練る時間のかけ方は違うかもしれないが、アライアンスの基本原則は同じだ。その原則とは、すべての雇用関係は本質的に双方向で、社員の得るメリットと会社の得るメリットを互いに明確にする、ということだ。

■第三章「コミットメント期間で大切なもの」 より

目指すべきは、会社と個人の目標をあらゆる面で完璧に一致させることではない。ある期間、一定の条件のもとでのみ、自然な形で両者をそろえる「整合性」を目指そう。

■第四章 より

「コミットメント期間は契約ではない。フリーエージェントや雇用関係を取引と見なす考え方では、法律や契約に重きを置くが、アライアンスは違う。中心にあるのは道義であって、法律ではない。そしてコミットメント期間も、公式な契約ではない。大切な関係を尊重し守るための、自発的な合意だ。会社側は、コミットメント期間では互いに道義的に義務を負うからといって、社員に負担を強いるようなポストを押しつけてはならない。」

■おわりに より

「現在まで続いている「フリーエージェント型の時代」は、我々を長期的視点の投資から遠ざけ、即効性だけを追求する近視眼的視点へと追い立てた。本論で述べたとおり、忠誠心を得られない企業は、長期的思考ができない企業である。長期的思考ができない企業は、将来に向けた投資のできない企業である。そして、明日のチャンスと技術に投資しない企業は、すでに死に向かっている企業なのだ。
本書では、企業と個人が、お互いに相手に時間と労力を投資しようと思えるような働き方の一つのモデルを示した。こんな世界を想像してみてほしい。マネジャーと社員が相手の目標や実現したい時期について率直に話し合う。マネジャーとチームメンバーが一緒になって自分たちの価値観と、ありたい姿にふさわしい仕事を設計する。社員が別の会社に転職した後でも、元の会社と引き続き互恵的な関係を保っていける。そのような世界、そのような働き方の文化は、すでにシリコンバレーに出現している。そして我々は、こうした働き方の原則があらゆる産業に、そして世界中に広がるはずだと考えている。

***

さて、列挙してみたが、いかがだろうか。なんとなく「アライアンス」が意味するところと、その斬新さや魅力を垣間見ていただくことができていれば幸いである。

私、管理人Nは、明かしてしまえば、実はフリーランスであるが、独立して約三年目の頃に本書に出会った。

当時非常に大きな衝撃を受けるとともに新鮮さを感じたが、改めて見直してみても、その感覚は変わらない。今なお、斬新かつ新鮮な印象を受ける。日本が長期停滞から抜け出せない理由の一つにはこうしたアライアンスのような思考方法と、具体的な実践が全くできていないからであろう。

思うに、「空気を読む日本社会」という文化に政治家も官僚も大企業もどっぷりとつかり抜け出せていないからだろう。

本書を読めば、答えはすでに出ている。

このごろ政府が行っている「働き方改革」とか「フリーランスとして働きやすい環境づくり」とか、これらは一体何をするのだろう?

たぶん、的外れに終わるのではないか。

「アライアンス」を見れば、そこに答えがある。

皆さんも、古い思考をこの一冊で一新してみてはいかがでしょうか。

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